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2017/02/20

HPCwire JAPAN | シリーズ スパコン探訪記 第三回 SPring-8

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1895年レントゲンが陰極線管を使って放電現象における電子の流れを研究中に、目に見えない光のようなものがある事を発見して、X線と名付けた。それから百年余り、1997年にはSPring-8が完成し、赤外線からX線までの放射光源の供用を開始した。その放射光源を用い、ナノレベルの微細構造の計測が行われている。今回はその放射光施設SPring-8のある理化学研究所・放射光科学総合研究センターを訪問した。

(中略)

ビッグデータ処理
こうして得られたX線レーザーを用いて、細胞小器官、生体高分子、金属微粒子などの様々な試料が観察される。その観察結果はX線回折データとして、X線カメラで収集され、コンピュータ上に蓄積され、様々なアルゴリズムを用いて、試料の電子密度分布や三次元立体構造を描き出す。まさにビッグデータ処理そのものである。
1)MPCCD
まずX線カメラで回折データを取得する必要がある。そのためにMulti Port CCD検出器が開発された。1024 x 512 ピクセルのセンサーを8枚並べてあり、2048 x 2048 ピクセルとして利用。中央部には開口部を設け、開口サイズをモーターにより制御し、入射光がセンサーに照射されないようになっている。このMPCCDを開発したのは、SCALA内部を案内して頂いた初井さんのチームだった。SACLAの壮大さに圧倒され、MPCCDやデータ収集・データ解析システムの詳しいお話しを聞きそびれてしまったのは失敗だった。頂いた資料などからシステムの概略を以下に示す。
2)データ収集システム(DAQ : Data Acquisition System)
MPCCD検出器からのデジタル信号を計算機用データに変換してCache Storageに書き込む。この時5 Gbpsで1月間連続してDISKへ書き込む必要があったため、DDN社のS2A9900を採用したそうだ(リプレース等を経て現行はSFA10K, SFA7700を使用)。次期システムでは、センサー当たり140 Gbpsの速度が必要になり、しかも72センサーとなるので、10Tbpsクラスの書き込み速度が要求される事になる。組み込みシステムによるデータ圧縮等を駆使して対応していくそうだ。
3)解析システム(Analysis System)
X線回折データを様々なアルゴリズムを駆使して電子密度分布や三次元立体構造を導き出す処理を行う。
2014年に導入された90.8TFLOPSのFX10システム、この9月に更新が予定されている13.3TFLOPS+170TB storageのPC Clusterシステムそして1PBのディスクと8PBのテープライブラリからなるArchive Storageシステムから構成されている。
PC Clusterシステムはこの9月に34TFLOPS + 2PB storageのシステムに移行する。


出典:HPCwire JAPAN スパコン探訪記シリーズ 「シリーズ スパコン探訪記 第三回 SPring-8」(2016/9/1) 
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